FCB(Functional Condition Box)の効果検証(その1:筋電図) FCBは、ラグビーの現場での真面目な発想から、2年以上の試行錯誤を経て、検証を重ねてエビデンス作りをして現在の形に進化してきました。
今回は真面目に筋電図を使った実験を通して、FCBの効果を検証したお話です。 当時、チームの最重要戦略キーワードは“立って繋ぐラグビー”“倒れないラグビー”を実現すること・・・。選手達はシットアップやクランチなど様々な種類の腹筋のトレーニングを日々何百回という単位でこなしていました。しかし、地面に根が伸びるが如く“倒れない”を実現するためには単なる腹筋群の強化だけでは何かが足りない・・・。直感的に内転筋を鍛えたいと思っていました。そこで、下肢を引っ掛けたり押さえたりするのではなく、何かを股関節内転して挟んで下肢を固定し、腹筋をしたらどうかと考えたのです。 最初はパートナーの脚や身体を挟んで、時にはエキセントリックな刺激を入れながらトレーニングさせました。これはこれで十分きつい。簡単に追い込めるので、みんなで夢中になってトレーニングしました。 その後、いくつもの試作品を経てFCBが完成するのですが、股関節を内転・内旋して、挟んで実施する腹筋は、今まで経験したどの体幹トレーニングよりも腹筋全体、特に腹筋下部、骨盤の中の奥の方まで効くのです。とにかくきつい。 そこで、現場で感じるそのトレーニング効果の理由を大学の研究室で検証することにしました。研磨剤入りのクリームで皮膚表面を何カ所も削り(被験者の皆さんありがとう!)、筋電図を使って通常のシットアップとFCBを使ったシットアップの体幹筋群の筋活動量を調べてみました。グラフはその結果です。 きつい理由が分かりました。同じ股関節屈曲動作をする腹筋のトレーニング動作(通常のシットアップとFCBシットアップ)でも、FCBを使うことで明らかにすべての筋の筋活動量が多くなり、以下のような結果が得られました。 |
①腹直筋の筋活動量はFCBを使うと1.3~1.5倍に増加(黄色)
②外腹斜筋の筋活動量はFCBを使うとおよそ2倍に増加(赤)
③内転筋の筋活動量の増加は4倍以上(破線)
④その他、FCBを使うと脚の筋の筋活動も増加
このような実験を通し、FCBを用いて股関節内転・内旋筋群と体幹筋群を同時収縮させてトレーニングすることは、通常の腹筋トレーニング(シットアップ)よりも簡単に、そして大きな筋活動量が得られることを確認しました。しかし、このFCBを使ったトレーニングは、単に筋活動量が大きくトレーニング効率がいいだけではありません。その特性は、投球動作やバッティング、格闘技など体幹筋群と股関節の内転・内旋動作が強調されるスポーツ動作に対し、新しい強化方法の着眼点であると考えています。
今後もしっかりと研究活動を続けて参りたいと思います。
何か不明な点やお気づきの点がありましたらご教授いただけましたら幸いです。
②外腹斜筋の筋活動量はFCBを使うとおよそ2倍に増加(赤)
③内転筋の筋活動量の増加は4倍以上(破線)
④その他、FCBを使うと脚の筋の筋活動も増加
このような実験を通し、FCBを用いて股関節内転・内旋筋群と体幹筋群を同時収縮させてトレーニングすることは、通常の腹筋トレーニング(シットアップ)よりも簡単に、そして大きな筋活動量が得られることを確認しました。しかし、このFCBを使ったトレーニングは、単に筋活動量が大きくトレーニング効率がいいだけではありません。その特性は、投球動作やバッティング、格闘技など体幹筋群と股関節の内転・内旋動作が強調されるスポーツ動作に対し、新しい強化方法の着眼点であると考えています。
今後もしっかりと研究活動を続けて参りたいと思います。
何か不明な点やお気づきの点がありましたらご教授いただけましたら幸いです。